2026/09/03 お知らせ
9月ボタニカルアート(麦角)
今月のボタニカルアートは、麦角(バッカク)です。

右の麦の穂に黒い物が付いており、下に不揃いな黒いかけら(菌核)が並んでいるのがバッカク(麦角)と言うキノコの一種です。
学名はClaviceps purpureaで、Clavicepsはこん棒状の、purpureaは紫を意味しており、その形状から命名されました。
麦角はライムギ等イネ科植物に寄生するため、ヨーロッパでは古代からバッカクに汚染された麦から
作ったパンを食べて中毒が起こっており、中世には大規模な集団中毒が度々起こっていました。
中毒症状は手足が黒く変色・腐敗して脱落すると言った悲惨な状況でした。
このため戦争にも用いられていたと言います。
17世紀に入りパンに交じっている麦角が原因であることが明らかにされ、
20世紀に入り成分的な研究が進んで来ました。
麦角には毒性のあるバッカクアルカロイドとして、エルゴメトリン、エルゴメトリニン、エルゴタミン、
エルゴシン、エルゴシニン、エルゴクリスチニン等構造が類似した成分が多数含まれています。
これらの成分研究がすすみ、エルゴタミンは子宮収縮剤、血管収縮剤、片頭痛治療薬として、
エルゴメトリンは陣痛促進剤、子宮出血治療薬等の製造原料として用いられています。
上記の成分は麦角から抽出して薬としていますが、一部は半合成を行い医薬品としています。
正に毒を以て毒を制すの諺通りの状況です。
本画はビュアルによる1700年代後期の作です。